評価委員 A

1. 目的・目標
 超高圧実験、物性測定、地震学、超高圧物性の数値シミュレーションによる地球深部ダイナミクスの研究は非常に魅力的である。設立されて5年であるが、優れた研究成果、及び国内外での研究協力により国際的に高く評価されているセンターである。優れた研究成果や超高圧実験によるダイヤモンド合成等を通して、社会にアピールすることは、愛媛大学にとっても非常に有利である。

2. 組織
 GRCの教員数を考慮すると、各研究分野への教員・研究員の配置はバランスがとれているが、実験及び計算機関係の保守の対応をどのようにするかが問題であろう。GRCの研究活動をさらに活発にするためには共同研究等の学内外の研究者との連携や外国人研究員等の受け入れは必須であるが、これらの受け入れ体制(事務手続きやGRCでの実験補助)の整備は重要な問題と思われる。

3. 研究活動
 GRCからの国際誌への掲載数及びそのインパクトは間違いなく世界トップクラスである。インパクトの高い論文が国際誌に掲載されていることは、GRCが新しい研究の展開や新しい方法等の開発に関しても非常に積極的に取り組んでいることを反映していると思われる。国内外との共同研究や国際レクチャー等、大学院生にも非常に刺激になるので今後も積極的に取り組むべきである。

4. 教育活動
 長期的に考えると学部・大学院教育は非常に重要である。既にSSC等のプログラムを導入されているが、基礎的な教育(物理学、化学、数学等)をどのように実施していくかを検討する必要がある。基礎的な能力を持った優秀な研究者を排出することが長期的なGRCの発展につながるのではと思われる。

5. 社会貢献と連携
 超高圧実験によるダイヤモンド合成に関する研究やインパクトの高い論文が国際誌に掲載され、必然的にマスコミ等を通じた 情報発信は活発である。これらの研究に関する講演会などに積極的に取り組まれていて、理科離れの問題等に大きな社会貢献をしている。

6. 施設・設備
 建物等の研究環境はすばらしく、実験設備も非常に整備され利用状況も問題ない。

7. 管理運営および点検改善
 センター長を中心に管理運営体制は整備されている。

8. 総評およびご提言
(自由にご記入ください。GRC全体の評価以外に、各グループ [超高圧、物性測定、地震、数値シミュレーション] および個人に対する評価・提言を含めていただいても結構です)
 全体的に非常にアクティブである。長期的な展望にたつと、SSCのみならず学部での基礎教育体制をどのようにするかを検討すべきと考える。また、GRCは国内の他の大学ではできない、分野を超えた世界最先端の研究が可能である。例えば、地震と物性分野の連携を強めてfluid(水等)の影響を定量的に議論することが可能であろう。超高圧実験、物性測定、地震学、超高圧物性の数値シミュレーションによる地球深部ダイナミクスの研究は、未来予測を含めて今後の大きな地球惑星科学のテーマである。教員人事に関しては現路線で進めるべきと考えるが、これらの分野の実験データ・観測データ等を考慮した地球内部の流動現象(マントル対流やコア対流)を数値シミュレーションにより推進できる独立した研究者をCOE研究員等で採用することは非常に有効ではないかと考える。




      
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