西山宣正准教授

  西山宣正准教授の研究課題「SiO2ナノ多結晶体:超高靭性高硬度を有する新材料の開発」が、科学技術振興機構(JST)の事業「さきがけ」(研究領域「新物質科学と元素戦略」)に採択されました。GRCに設置の超大型高圧合成装置BOTCHAN-6000等を活用し、新しい超硬材料の合成を系統的に進めるとともに、その特性評価や大型化に取り組みます。
  西山准教授らが合成に成功したSiO2ナノ多結晶体(NPS)は、酸化物としては最高の硬度とともに、高い靭性を有することが明らかにされており、タングステンカーバイドなどの超硬材料と同等以上の性質をもつクリーンな超硬材料として、その実用化が期待されます。研究期間は3年間を予定しており、計4000万円近い研究費が措置される見込みです。
  なお、2011年8月24日に発表されたJSTからの記者発表資料によると、本研究領域では175件の応募に対し12件が採択されています。研究総括の細野秀雄教授(東工大セラミックス研究所)による、採択に当たっての総評には以下のように記載されており、西山准教授の研究課題に対して特に高い評価がなされたことを示しています。  
「その結果、採択された12件の提案は、いずれも本領域の趣旨に合致し、内容の優れたものです。例えば、地球科学の気鋭研究者による、ありふれた酸化物で超硬合金 (WC) に匹敵する高硬度でしかも脆くない機械材料を作製するという提案は、まさに本領域が求めているものの典型例といえます。」(「さきがけ」採択課題に関するJSTホームページhttp://www.jst.go.jp/pr/info/info825/besshi2-10.htmlより一部抜粋)  
  GRCでは、世界最硬ヒメダイヤ(ナノ多結晶ダイヤモンド = NPD)の開発と応用など、独自の超高圧技術を駆使し、地球科学のみならず、材料科学・無機化学・物性物理学など様々な方面への応用に取り組んでいます。また、愛媛大学内外の関連分野の研究者にもその先端的研究施設を開放し、他分野の研究者との共同研究を強力に進めています。この結果、昨年度にはGRC研究員の山田幾也助教(愛媛大学理学部化学科)が同じく「さきがけ」に採択されています。同様に、GRC研究員の松下正史教員(工学部機械工学科)が、本年度新学術領域研究の計画研究に採用されるなど、GRCでは本学の他部局における大型外部資金の獲得にも大きく貢献しています。 また、現状で既に活発に推進している国外を含む学外との共同研究も一層強化していく方針で、高度な研究基盤技術を用いた超高圧研究拠点を目指しています。


     写真:合成されたナノ多結晶SiO2焼結体とその微細組織




                       
西山宣正准教授「さきがけ」に採択
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