「米国科学アカデミー紀要」(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, PNAS)は「ネイチャ ー」誌・「サイエンス」誌に並び、高いインパクトの研究成果が発表される総合誌で す。GRC数値計算グループの一員として研究活動をおこなっている、愛媛大学上級研 究員センターの土屋旬上級研究員と、GRC土屋卓久准教授とによる研究成果が、 12/9付けPNASに掲載になりました。土屋上級研究員らは、第一原理電子状態計算法に 基づいて、最下部マントル主要構成鉱物であるMgSiO3ポストペロヴスカイトの安定性 に対するアルミニウムの固溶効果を詳細に調べ、固溶体の新たな結晶学的性質を見出 しました。またマントルに想定される量のアルミニウムを含むポストペロブスカイト 転移が、下部マントル最下部のD"(ディーダブルプライム)層の圧力領域において、 地震波速度のシャープな変化を生じること示しました。今回の研究において開発され た計算手法である多配置サンプリング法は、今後鉄固溶体への応用なども可能で、数 値計算に基づく地球深部物質学の新たな展開への重要な貢献が期待されます。本研究 は、地球深部の複雑な化学組成を持つ物質の、高温高圧下での挙動を理論的に解明す る上で重要な手法を提示するとともに、D"最上部のシヤープな地震学的不連続面の原 因を明らかにした点でも重要です。


図:本研究により得られたアルミニウムを含むペロヴスカイト
関連高圧相の結晶構造。


米国科学アカデミー紀要に研究成果発表
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