16th GRC International Frontier Seminar 開催報告
  
  2006年9月26日にMissouri大学のMian Liu 教授を招いてGRC国際セミナーをおこない
ました。参加者はおよそ50名で、プレート境界域の構造とダイナミクスについて、最新の
成果発表とともに活発な討論が行われました。

            

  "Strain partitioning and fault evolution in plate boundary zones: Insights from
  numerical modeling" 
  講師:Mian Liu(Missouri大学地球科学科教授)
  日時:2006年9月26日(火) 17:00-18:00
  場所:理学部講義棟3F301室




オーストラリア国立大で招待講演
 
  入舩センター長は、9月にメルボルンでおこなわれた国際地球化学会ゴールド
シュミット会議参加の後、キャンベラにあるオーストラリア国立大学(ANU)の地球
科学研究所(RSES)に招へいされ、学術創成研究の中心的成果である放射光実
験による弾性波速度測定と超高圧実験に関する招待講演をおこないました。同
研究所は固体地球科学の世界的研究拠点であり、約60名の関係分野の研究者
の参加があり、活発な討論がおこなわれました。また同センター長は、引き続くセ
ミナーにおいて、学術創成研究を契機に生み出された、大型超高硬度ナノ多結晶
ダイヤモンド(HIME-DIA)の合成と応用についての講演をおこないました。




海洋地殻物質のマントル遷移層での弾性波速度

  超高圧グループの河野義生・肥後祐司研究員らは、沈み込むスラブの主要構
成物質である海洋地殻物質 (MORB)のマントル遷移層条件下の弾性波速度測
定 を初めておこないました。実験はSPring-8の放射光を用いたX線その場観察と
超音波測定を組み合わせ、マルチアンビル装置を用いて約17GPa, 1500K程度の
圧力温度条件までおこなわれました。この結果をもとに、マントル中での海洋地殻
物質の地震学波速度による検出の可能性について検討がなされています。

         
         (写真:測定に用いられた合成海洋地殻物質焼結体の透過型
         電子顕微鏡像)
 



HIME-DIAのDACへの応用

  大阪大学極限量子科学研究センターの清水克哉教授・中本有紀技術専門
職員とGRC客員研究員の角谷均住友電工エレクトロレクトロニクス・材料科学
研究所スペシャリストらのグループは、GRCで合成した超高硬度ナノダイヤモン
ド(HIME-DIA)を用いたダイヤモンドアンビルセル(DAC)による初めての超高
圧発生実験を、SPring-8においておこないました。この結果、200GPaを越える
圧力発生が確認されましたが、今後の改良により更に高い圧力の発生が期待
されます。

          





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