IUGG 2007 参加報告

  2007年7月2日〜13日の間にイタリア中部の都市ペルージャのペルージャ大学にてIUGG (The International Union of Geodesy and Geophysics, 国際測地学地球物理学連合) の4年に一度の総会が開催され、前半の一週間に参加してきました。IUGG総会は地球物理学の分野において世界的にももっとも大きな学会の一つということで、地球深部科学以外にも様々なセッションが設定され世界各国から大変多くの研究者が集まり、日本からも相当数の参加があったように見受けられました。
  我々に関係するものだけでも上部マントルや沈み込むスラブをターゲットにしたセッションから中心核をターゲットにしたセッションまで多数用意され、その中で私は核と下部マントルに関する2つのセッションで、内核と核-マントル境界の物質構成に関する研究成果について講演を行いました。前者の講演では主に鉄からなる地球中心核における珪素の存在可能性について、学生と調べた結果を発表しました。上部マントルの化学組成は始原的隕石に比べ珪素に枯渇しているといわれており、失われた珪素の行方として核が有力視されています。一方後者の講演では、下部マントルの底に存在すると考えられる新物質ポストペロヴスカイトの弾性波速度を予測し、いわゆるスーパープルームとして知られる地震波低速度異常と化学的不均質の関係について調べた結果を発表しました。世界最大規模といっても実は私のような鉱物物理学者はこの会議にはほとんど参加しておらず、私が講演したセッションも基本的には地震学を主体としたものでした。しかしながら近年理論鉱物物性学の注目度が増していることもあって発表に対しては幾つか興味深い反応を得ることもでき、とある海外の地震学者とは午前中の講演終了後夕方近くまで長々と互いの研究について議論しました。大変慌しい旅ではありましたが、私自身複雑な地球システムの包括的な理解を目指していますので、こういった会議に参加し関連他分野の研究者といわゆる学際的な議論を行うことは有意義でもありまた大変楽しくもあります。
  ペルージャはイタリア中部丘陵地帯を占めるウンブリア州の州都で、ローマから急行電車に乗り約2時間ほどで行くことができます。大学を含む中心エリアは丘上部の城壁内部にあり、その街並みはイタリアの都市の多くがそうであるように大変に歴史を感じさせるものでした。日本ではサッカーで有名かもしれませんが、実は文化活動も盛んだそうで、学会とちょうど同時期にこれもたいへん大規模なジャズフェスティバルが行われるとのことでした。そのせいもありペルージャ市内のホテルはどこも満杯で、私は郊外の街アッシジほど近くのホテルに滞在しなければなりませんでした。毎日学会場まで片道約一時間もの道のりでしたが、臨時でシャトルバスが出たため、かえってその車中からウンブリアの景色を楽しむことが出来ました。(土屋卓久)




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