Wilhelm and Else Heraeus Seminarで基調講演
  
  本研究代表者の入舩教授は、ミュンヘン近くのLinderhof城で9月12-16日に開かれる
標記セミナーで、本学術創成研究において得られた成果に関する基調講演をおこない
ます。このセミナーは世界中から選ばれた地震学、地球内部物性、地球深部ダイナミク
ス分野における第一線の研究者による各1時間の講演と、それに引き続く議論に基づき、
地球マントルの密度、温度、弾性的性質についての意見交換をおこなうとともに、ドイツ
を中心としたEUの若手研究者・大学院生に対する教育をおこなうことを目的としています。
他の基調講演者は以下の通りです。

     Brian Kennett (オーストラリア国立大)
     Barbara Romanovicz(カリフォルニア州立大バークレー校)
     Guy Masters(カリフォルニア州立大サンディエゴ校)
     Miaki Ishii(ハーバード大)
     Robert van der Hilst(マサチューセッツ工科大)
     Robert Liebermann(ニューヨーク州立大)
     Artem Oganov(スイス連邦工科大)
     Lars Stixrude(ミシガン大)
     Yanick Ricard(リヨン大)
     Jeannot Trampert(ユトレヒト大)
     Cinzia Farnetani(パリ地球物理研)



シカゴでワークショップを開催

  本学術創成研究(「放射光と超高圧技術による地球深部物質の探査」)では、研究の
最終年度にあたり、SPring-8とともに世界最大規模の第3世代放射光実験施設であるシ
カゴのAPSにおいて、関連分野の研究者とともに成果発表を中心としたワークショップをお
こないます。我が国からはGRCを中心とした研究代表・分担者とともに関連分野の研究
者が、またAPS側からはGSECARS(地球科学コンソーシアム)を中心とした高圧地球科
学などの研究者が参加する予定です。
  日時:2007年12月6日−7日
  場所:アルゴンヌ国立研・先進放射光実験施設(APS)

 また、本組織では、特定領域研究「地球深部スラブ」総括班との共催で、下記のように
一般向け公開講演会をおこなう予定です。
  「ヒメダイヤの合成と地球内部の物質」
    入舩徹男(学術創成研究代表者)
  「日本沈没と沈み込んだプレートの行方」
    深尾良夫(特定領域研究代表者)
  日時:2007年11月4日 15:00-17:00
  場所:愛媛大学グリーンホール



HIME-DIAを用いたDACによる高温高圧発生
 
  本学術創成研究を契機に大型化、良質化がすすめられた超高硬度ナノダイヤモンド
(HIME-DIA)を用いたダイヤモンドアンビル装置において、YAGレーザーを用いた超高
圧下での加熱実験が八木健彦東大物性研のグループと、GRCの大藤助教との共同実
験としてPFおよびSPring-8で試みられ、100GPa領域での2500K程度の加熱実験に成
功し、ポストペロフスカイト転移の観察をおこないました。同アンビルを用いた阪大・住
友電工のグループとの共同研究では既に200GPa以上の圧力発生も確認されており、
今後HIME-DIAの超高圧発生への本格的応用が期待されます。

                
           レーザー加熱中のHME-DIAアンビル(八木健彦教授提供)



超音波測定領域の拡大

  GRCの肥後研究員(現SPring-8, JASRI研究員)らは、マルチアンビル装置を用いた
超音波測定における従来の限界を打破する、22GPa, 1800Kまでの高温高圧下での弾
性波速度測定に成功しました。この圧力・温度条件は深さ410-660kmのマントル遷移
層のほぼ全域に相当し、今後この領域の物質構成や化学組成の全面的解明に重要な
進展をもたらすものと考えられます。



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