シカゴAPSにて国際ワークショップ開催
  
  学術創成研究代表の入舩と、シカゴ大Geo Soil Enviro CARS (GSECARS)のYanbin
Wang博士が中心となり、SPring-8と並んで世界3大放射光施設の1つAPS (Advanced
Photon Source)のあるアルゴンヌ国立研究所で、"International Workshop on
Synchrotron High-Pressure Mineral Physics and Materials Scinece"というタイトルの
国際ワークショップが、12月6日と7日にわたり開催されました。日本からGRCの超高圧
グループを中心に20名あまり、また全米およびフランス、ドイツ等一部ヨーロッパからも
放射光高圧地球科学および高圧物質科学関係者40数名が集まり、2日間の合計で70
名程度の参加者がありました。本ワークショップは、当学術創成研究が最終年度を迎え
るにあたりその成果報告と情報発信の一環として、またともに設立約10年を迎えた
SPring-8とAPSの放射光高圧地球科学・物質科学分野の研究・技術交流をめざして開
催されました。
  この2日間は朝から夜まで(1) Synchrotron High-Pressure Facilities and Related
Developments, (2) Neutrons and New Techniques, (3) Ultrahard and Other Materials,
(4) Mineral Physics Applications、の4つのオーラルセッション(29件)とポスターセッショ
ン(20件)がおこなわれ、活発な議論がおこなわれました。また、会議の途中ではラボツ
アーがおこなわれ、関連分野のビームラインの現地における紹介があり、多くの研究者
や技術者と接する機会がありました。 GRCからは7名が参加し、特に学術創成研究を
通じて生み出された(1)独自の超高硬度ナノダイヤモンド(ヒメダイヤ)の合成法や高圧
装置への利用、(2)超音波と放射光を組み合わせた弾性波測定、(3)多結晶ダイヤモン
ド焼結体を用いた超高圧発生、およびこれらの技術を用いた先端的地球科学研究の
成果が披露され注目を集めました。また、GRCに設置された新しい大型変形装置
MADONNAの紹介や、東大 の鍵准教授らによる中性子ビームラインの展望等に関する
報告もあり、今後の超高圧地球科学・物質科学の方向性についても議論されました。
なお、本会議の成果は国際誌「High Pressure Research」の特別号として出版される予
定です。





本研究の成果がNature誌に発表

  本学術創成研究で開発された弾性波精密測定技術に基づき、マントル遷移層の主
要高圧相であるringwooditeとmajoriteに対して、測定がおこなわれました。前者は肥後
研究員(現在JASRI研究員)により専門誌に発表されるとともに、これらの結果とmajorite
に対する測定結果を総合して、入舩代表によりNature誌にまとめられ、その2/12号に発
表が予定されています。この他にも河野研究員らによる絶対圧力スケールへの応用や、
海洋地殻物質の弾性波速度測定結果など、本研究の最終年度にあたり重要な研究成
果が次々と発表されつつあります。



研究成果報告公開講演会「地球を覗く」開催
 
  平成19年11月4日(日)、愛媛大学グリーンホ?ルにおいて、標記の市民公開講演会
をおこないました。本学術創成研究代表者の入舩による「ヒメダイヤの合成と地球内部
の物質」と題する講演では、本研究の成果が一般向けに分かりやすく解説され、約100
名の市民・学生・高校生等の聴衆が熱心に聞き入りました。会場にはGRCの展示ブース
を設置し、多くの方がヒメダイヤを観察したり、中には関連書籍等を購入される方もおら
れました。なお、本講演会は特定領域研究「地球深部スラブ」との共催でおこない、同代
表の深尾良夫海洋研究開発機構・地球内部変動研究センター長も「日本沈没と沈み込
んだプレートの行方」と題する講演をおこないました。



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