GRC超高圧分野を中心とした研究組織に対する「学術創成研究費」が採択され、今年度から5年間にわたり「放射光と超高圧技術による地球深部物質の探査」を課題とした研究が開始されています。あらゆる分野からの推薦による86件の応募から、書面審査と江崎玲於奈・西澤潤一先生などの著名な審査員によるヒアリングを経て、最終的に研究費が交付されたのは16件のみということです。地球科学分野では全国で唯一採択されたということで、GRCの研究活動が純粋に評価された点で大きな喜びとともにプレッシャーを感じております。つきましては、今後本ニュースレターの一部を「学術創成ニュース」とし、関連する情報発信の場としたいと考えております。
 さて、この間の残念なニュースは「21世紀COE」の選考に際し、GRCを中心とした「地球深部構造物性研究拠点」が地球科学分野で8件のヒアリング課題には選ばれたものの、最終的に不採択となったことです(最終採択課題は数学・物理学・地球科学分野で計24件)。結果の公表後1か月余りを経たこの時期に、申請代表者として今回の不採択の原因について総括しておくことは今後のためにあながち無意味ではないと考え、誤解を恐れず私見を述べたいと思います。
 まず、この種のヒアリング審査でオピニオンリーダーの役割を果たす、関連分野の"担当審査員"の人選には割り切れないものを感じました。我々のヒアリング審査で口火を切った担当審査員は、事実上の対立候補である某大学研究センターの前センター長でした。小規模な研究センター中心の申請では、GRCかこのセンターのいずれかであろうというのが地球科学関係者大方の予想でしたので、ヒアリング審査員の構成を知った瞬間「アウト」という思いを強くしました。多数を占める専門外の物理系や数学系の審査員の方々は、この点ご承知だったのでしょうか?
 一方でCOE選考基準などをめぐる情報が不足し、昨年度の本学CMESの成功例に頼りすぎたことは大きな反省点です。審査側の昨年度の反省を踏まえた様々な状況の変化、また分野ごとの判断基準の大きな差は、私自身多少認識はしておりましたが対応が甘かったことは否めません。また、これらの情報収集や情勢分析における事務サイドの動きも他大学に比べて決して十分ではなく、今後大いに改善の余地があると思われます。特に大学院教育面について、有効な資料と方向性についての準備が不十分であったのは、大きなマイナスの"口実"を与えてしまいました。
 後で手にした審査結果には"2・3人は世界レベルだけれど…"とありました。これを不採択の理由にされては、大所帯の中から一部の精鋭のみを集めた大きな大学に比べ、地方大学はほとんど勝ち目はないでしょう。一方でその2・3人が、審査員に有無をいわせぬほどの研究活動を展開していると認識させるに至らなかったのは、我々の力不足ということでしょうか。いずれにしてもGRCの求心力を一層強め、関連分野の研究の活性化と層を厚くする必要があることは確かだと感じております。
 以上、記憶と思いの薄れぬうちにと、21世紀COE顛末記を書かせていただきました。少なくともこの部会の地球科学分野では、研究成果や内容よりも分野全体のバランスが重視されたなというのが正直な感想です。様々な点で厳しい環境におかれながらも、独自の努力と情熱で研究教育成果をあげている地方大学の状況が、審査員の先生にどれだけ理解されていたのか少々疑問が残るところです。
 最後になりましたが学長・担当事務・関連教官の皆様にはこの場をお借りしてご協力に心より感謝いたしますとともに、代表者としての力不足を認識し、今後更にGRCの研究活動を活発化して"真のCOE形成"をめざしたいと決意を新たにしております。


入舩 徹男