地球深部物質科学分野の学術創成をめざし、関連分野の世界一流の研究者を
   招き、学内外に開かれた2日間程度の集中講義と討論会をおこないます。

   第4回 "Recent Developments in High-Pressure Diamond Cell Research:
         Applications to Earth and Planetary Sciences"            
         講師:Dave Mao (カーネギー研究所上級研究員)    2003.11.27-28





   地球深部物質科学研究の新しい展開をめざし、関連分野の世界一流の研究者
  による先端的研究に関するセミナーをおこないます。

   第7回 "The chemography of diamonds: recent ion microprobe data on the
         growth and composition of diamonds in the Earth's mantle".
          講師:Ben Harte(エジンバラ大学教授)            2003. 9. 5

   第8回 "Major Challenges in Understanding the Mantle and Core"  
          講師:Gerald Schubert(カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授)
                                            2003.10.2

   第9回 "High Pressure -- A New Dimension in Physical Sciences"
          講師:Ho-Kwang Mao (カーネギー研究所上級研究員)  2003.11.27




FIBによるDAC合成試料の薄膜作成
 学術創成研究費の設備備品として平成15年度9月に導入された収束イオンビーム(FIB)加工装置と、試料取り出し用マニピュレーターの設置と立ち上げが順調にすすみ、ダイヤモンドセル(DAC)による超高圧合成試料などの透過電子顕微鏡(TEM)観察用薄膜加工が可能になりました。地球科学分野の研究機関への同装置の導入は我が国で初めて、またFIBがDAC合成試料の加工に用いられたのも、世界で初めての試みと思われ、レクチャーのためGRCを訪問したDACの先駆的研究者Mao博士も強い関心を示していました。  
 写真のような10×5ミクロン・厚さ100nm程度の TEM用試料が、微小試料の任意の位置から切り出すことができ、少なからぬ温度・圧力勾配の存在するDAC合成試料観察に大きな威力を発揮しています。また今後100GPa発生をめざし試料のダウンサイズ化を視野にいれているマルチアンビル合成試料のTEM観察や、合成ナノダイヤモンド多結晶体の加工にも利用できそうです。詳細は本GRCニュースレターの装置紹介を参考ください。
                


SPring-8における研究成果Nature誌(2004.1.1号)に掲載
  GRCの一色麻衣子(博士課程大学院生)と入舩センター長は、東工大、IFREE、SPring-8、原研、名大の研究者とともに地球深部に存在する最も重要な炭酸塩であるMgCO3(マグネサイト)の超高圧下での結晶構造変化を実験的に解明することに成功しました。  
 炭酸塩鉱物は二酸化炭素を海洋底堆積物として固定し、海洋プレートの沈み込みとともに地球深部にもたらすため、大気圏・海洋・固体地球を含む全地球規模での二酸化炭素の長期的大循環を解明する上で重要な役割を果たすと考えられます。  
 本研究では、SPring-8の高圧構造物性ビームライン(BL10XU)のダイヤモンドアンビル型超高圧発生装置を用い、世界で初めてX線その場観察によるマントルほぼ全域に対応する条件下でのマグネサイト相転移実験に成功したものであり、MgCO3マグネサイトおよびその新しい高圧相(マグネサイトII)が、地球の核付近まで安定に存在することを明らかにするとともに、マントル・核境界付近における温度急上昇により、CO2を発生する分解反応が起こり得ることを示しました。研究成果はNature誌2004年1月1日号に掲載されました。



← Back