第112回ジオダイナミクスセミナー
   Geodynamics Seminar

         
      2. 有機無機相互作用と生命の起源
        −生命は石の上で生まれた?−
   Organic-inorganic interactions and the origin of life
           - Life's origin on the minerals?-
         
              講師:中嶋 悟
     (東京工業大学大学院理工学研究科教員) 
 

        
        主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
     日時 : 2004年11月12日(金)17:00〜
     場所 : 愛媛大学理学部講義棟 201教室
要 旨
 地球上の原始生命は,約40-35億年前に水の中で生まれたと想像されている. 従来,原始生命の原材料である有機分子の生成過程は,有機低分子に高エネル ギー電磁波(紫外線や加速粒子)や電気火花等を与える実験から研究されてきた. これらは惑星空間では起こりえるが,地球の水の中では極めて想像しにくい過 程である.一方,タンパク質やDNAなどの生体高分子の生成進化過程は,生化 学的な酵素反応などから研究されてきた.しかしながら,この2つの間に存在 する有機原材料分子が生体高分子まで進化する過程については,殆どよくわかってい ない.
 この有機分子の重合過程は自発的ではないため,外部からの熱力学的エネルギーの 供給が必要である.そこで,ここでは地球の水圏に存在する非晶質水和無機物(コロ イド状のシリカや鉄の沈殿物等)が自発的により結晶性の高い鉱物へと進化する過程 で放出する熱力学的エネルギーを利用する可能性に注目する.すなわち,有機物と無 機物が有機無機相互作用により「共進化」し,生命の原材料分子を生成する可能性 を,主に熱力学,反応速度論と実験を組み合わせて検討する.その例として,シリカ 存在下 でのアミノ酸のペプチドへの重合反応を紹介する.




        問い合わせ先:山崎 大輔  TEL   (089)927-8408
                    E-mail  yamazaki@sci.ehime-u.ac.jp


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