第114回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「放射光X線その場観察実験によるパイロライトとMORBの
660km不連続面付近における密度変化直接決定と弾性波
速度」
"Direct measurement of density in pyrolite and MORB
compositions near t he 660 km seismic discontinuity
determined by in-situ X-ray diffraction measurement
and the seismic velocities"
講師:実平 武(愛媛大学博士4年)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2004年12月3日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 201教室
要 旨
パイロライトとMORBは地球深部を代表する重要な岩石であり、その深さ方向に
おける密度変化を知ることは地球深部のダイナミクスを知る上で重要である。本
研究では密度決定に関する新たな試みとして放射光X線その場観察実験から高温
高圧下における各鉱物の格子体積を測定し、回収試料の組成分析と組み合わせて
密度を決定する「直接決定」を試みた。
岩石中の各鉱物の格子体積を測定することはX線回折ピークの重なり方が複雑
なことから困難であったが、LeBail法(LeBail 1992)を基にした「Structure-l
ess whole powder pattern fitting」により、複雑なX線回折パターンから各鉱
物の格子体積を精密に測定することに成功した。この方法を基にパイロライトの
密度変化を決定したところ、これまでの高圧実験の結果(e.g. Irifune 1993)
及び、地震学モデル(PREM)とも調和的であった。しかしながら、弾性波速度変
化を計算より求めたところ、速度に関してはどの地震波速度モデルよりも系統的
に高い傾向を示した。これに関しては各鉱物の弾性パラメーターの不確定さが大
きいことが一つの原因として考えられる。
本講演ではこのほかMORB中のアルミナス相に関するX線その場観察実験の結果 についても報告する。
問い合わせ先:山崎 大輔 TEL (089)927-8408
E-mail yamazaki@sci.ehime-u.ac.jp