第119回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「海底地震観測とHi-netデータを用いた南海トラフの
地下構造の研究 」
"Crustal structure under the Nankai Trough derived from
OBS and Hi-net data"
講師:平田 貢(愛媛大学修士1年)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2005年2月25日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 201教室
要 旨
地震波トモグラフィー法を用いた日本の陸域の地震波速度構造に関する研究は、数多く行なわれてきた。しかし海洋の観測点が使用されていないため、海洋地域下の地震波速度構造についてはあまり研究がなされていないのが現状である。そこで本研究では、陸域の観測点に海底地震計のP波走時データを加えた。さらにsP depth phaseを用いて、2004年9月に紀伊半島南東沖で発生した地震の震源再決定を行なった。それらの中から深さ誤差の小さいものを使用してインバージョンを行い、より詳細な南海トラフ下のP波地震波速度構造の推定を試みた。
今回観測点は、海底地震計とHi-net 観測点の計96個を使用した。地震は559個を使用し、P波走時データ数は約5100個である。手法はZhao et al.,(1992, J.G.R.)の地震波トモグラフィー法を使用した。
sP depth phase を用いて震源再決定を行なうことにより、海底下で起きた地震の震源を精度よく決定できた。海底と陸上の観測データをあわせて用いることで、海域下の3次元地震波速度構造の推定ができ、フィリピン海スラブが北西方向に沈み込む様子や、フィリピン海スラブの脱水によるものと思われる低速度異常もイメージされた。
問い合わせ先:山崎 大輔 TEL (089)927-8408
E-mail yamazaki@sci.ehime-u.ac.jp