第142回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「CO3コンドライト中の溶け残りオリビンの研究」
"Research of relic olivin in CO3 chondrite"
講師:北窓 哲史(愛媛大学修士2年)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2005年12月9日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 301教室
要 旨
CO3コンドライトY82094中のコンドリュール及びクラストのオリビンを観察するとWDS
の電子ビームで発光するものが発見できる。この発光現象はカソードルミネッセンスと呼ばれ、結晶中の欠陥構造に対応していると考えられている。これを用いると、反射電子像や二次電子像で一見して同一に見える部分の組成の変化等を知ることができる。コンドリュールにおける発光現象では、発光する部分はコンドリュール形成時の溶け残りであると考えられている。
Y82094中の発光するオリビンをWDSの電子ビームで分析すると、Al,Ca,Ti等の少量の元素が、非発光のオリビンと比較して多く検出された。発光するオリビンはリムからコアにかけて徐々に光が強くなっていき、ゾーニングプロファイルを調べると、コアにAl,Ca等の少量元素の濃集が確認できた。発光するオリビンは、形態的な特徴の観察からも、コンドリュールフォーメーションで二次的にできたものではなく、コンドリュール前駆物質がフラッシュメルティングの過程で溶け残ったものだと考えられる。発光するオリビンはコンドリュールの前駆物質であり、メルトからの結晶成長で形成されたのではなく、非平衡な状態でガスから直接形成された可能性を示唆している。
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
E-mail takut@sci.ehime-u.ac.jp