第143回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「有限波長トモグラフィー法による日本下の構造解析」
"Seismic structure beneath Japan Islands derived from
finite frequency tomography"
講師:山本啓二(愛媛大学修士2年)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2005年12月16日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 301教室
要 旨
これまでの多くの遠地地震トモグラフィーの研究は、波線を一つの細い線として近似する波線理論に基づいていた。しかし、実際には、遠地地震の場合、地震波のフレネルゾーンは大きくなり、その伝播経路は波線理論のものとは異なるようになる。このようなことから遠地地震トモグラフィー解析においては、有限波長の考慮は非常に重要である。近年、この効果を考慮した遠地地震トモグラフィー法
(Hung et al., 2004) が開発された。しかし、この手法による研究は、プルームがあるとされるアイスランドなどの地域のみに限られ、その手法の有効性については今なお議論されている。そこで、本研究ではこの手法の有効性を確かめることを目的とし、日本を実験場として実際の観測データから手法までの検証を試みている。本研究で使用した地震は、広帯域観測網F-netの78点で観測されたマグニチュード5.5以上、震央距離30度から90度までの72個である。ピッキングはP波の到達時刻について行い、その後VanDecar
& Crosson (1990)の手法を適用した。その結果、得られたデータは3つの周期帯で約11000個である。本発表では、研究の紹介とデータについての議論を行う予定である。
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
E-mail takut@sci.ehime-u.ac.jp