第166回ジオダイナミクスセミナー
   Geodynamics Seminar

   「地震学による物性値の定量的見積もりについて」
 "On the seismological determination of physical properties
            within the deep Earth"

           講師:山田 朗(GRC教員)

                        

      主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
      日時 : 2006年11月24日(金)17:00〜
      場所 : 愛媛大学理学部講義棟 ※302室
 
要 旨
  地球内部の物性値を直接観測する手段は,現在のところ,地震学によるものが 主である.ボーリングによる地殻・上部マントル物質,また,捕獲岩の採取によ る上部マントル深部物質の直接観測の方法もあるが,深部地球の物性に関しては 地震波の観測・解析が唯一の方法である.
  地震学から推定される基本物性値は,P・S波速度,密度である(その他,減衰 パラメータ,異方性パラメータもあるが,今回は触れない).高温高圧実験・物 性シミュレーションの結果との比較に用いるこれらの地震学的な物性値見積もり について,以下の2点について紹介する.

(1) グローバル1次元構造: 平均的な1次元構造モデルとしてよく使われるもの に, PREM (Dziewonski & Anderson, 1981),iasp91 (Kennett & Engdahl, 1991), SP6 (Morelli & Dziewonski, 1993), ak135 (Kennett et al., 1995)が 挙げられる.これらは,そのモデル構築において異なる概念・手法を用いてお り,それが結果として推定された構造の相互のずれとなって現れている.今回 は,それらの違いや比較として用いる場合のポイントについて紹介する.
(2) 層境界の不連続構造: マントル不連続(410 km, 660 km), CMB, ICBは地球深 部の顕著な層境界であり,これらでの不連続構造の推定はダイナミクスの境界条 件となる.それゆえ,地震学的な構造推定と,実験・計算からの推定(相転移, 物性量ジャンプなど)との比較が必要である.これらの地震学的な推定の現状や 精度についての紹介を行う.


        問い合わせ先:土屋 卓久  TEL   (089)927-8198
                       E-mail  takut@sci.ehime-u.ac.jp