第172回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「大型高純度ダイヤモンド多結晶体の高温・高圧合成」
"High pressure and high temperature synthesis of large pure polycrystalline diamond"
講師:大西健央(愛媛大学修士1年)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2007年2月2日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 ※302室
要 旨
天然に産するダイヤモンドの大部分は、単結晶である。この単結晶は高い硬度を
持つが、結晶面や方向により硬度が大きく異なり、また劈開により一定方向に割
れやすい性質を持つ。しかし、多結晶ダイヤモンドは劈開性がなく、どの方向に
対しても同じような硬度を持つ。こうした特性をもつ天然多結晶ダイヤモンドは
掘削工具などに利用されてきたが、安定的な入手が困難で、また特性のばらつき
も大きいことから合成による多結晶ダイヤモンド供給が望まれている。Irifune
et al.(2003)は12-25 GPa、>2000℃の条件下で多結晶ダイヤモンドの合成に成
功した。得られた試料は数十nmの等粒状組織、数百nmのラメラ状組織からなり、
knoop硬度は140 GPaであった。しかしながら、得られた試料は直径1 mm程度だっ
たため、掘削工具として工業用に利用するには小さすぎた。本実験ではセル改良
の結果、大型試料内部において2000℃を超える高温発生に成功した。その結果直
径3.8 mm程度の多結晶ダイヤモンドの合成に成功した。また得られた一部の試料
のTEM観察およびラマン分光測定から、ダイヤモンドの粒径は数十〜数百nm程度
であり、以前の報告(Irifune et al., 2003, Sumiya and Irifune, 2004)に比
べてやや大きい傾向がみられた。また、これら試料の一部のknoop硬度を測定し
たところ110-130 GPa程度の値を示した。本発表では大型セル及び多結晶ダイヤ
モンドの組織について詳しく述べる。
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
E-mail takut@sci.ehime-u.ac.jp