第172回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「akimotoiteの高温高圧下合成と選択配向の観察」
"High-pressure and high-temperature synthesis of akimotoite
and observation of the lattice preferred orientation"
講師:館田洋介(愛媛大学修士1年)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2007年2月2日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 ※302教室
要 旨
低温型スラブが上部マントル深くまで沈み込むと、そのスラブの中心付近は相対的に高圧低温状態に晒されることとなる。そのような状態になった時、MgSiO3輝石はイルメナイト構造をもつとされている(Ito
and Yamada 1981)。イルメナイト構造を持つMgSiO3 はL6型コンドライト中にて発見されてその存在も明らかとなり(Tomioka
and Fujino, 1999)、故秋本俊一氏に因んakimotoiteと名付けられた。
地震学的研究によって、地球内部に地震波速度の異方性が存在することが確認された(Tanimoto
and Anderson, 1984)。そして最近、理論的研究によって akimotoite の弾性的異方性が確認され、弾性定数の計算も行われた(Zhang
et al., 2005)。マントル遷移層付近の温度圧力条件を実験的に再現し、応力場におけるakimotoiteの結晶方位の観察と選択配向の確認を行うことは、地震学的な異方性と関連付けて地球内部の流動を理解していく上で、非常に重要なこととなる。
本研究では、酸化物粉末からakimotoiteを高温高圧合成し、その観察を行っ
た。その結果、準静水圧下で合成したakimotoiteと一軸圧縮をかけたakimotoiteとでは、結晶方位の傾向に大きな違いがあることを見出すことが出来た。本発表ではその結果報告と地球内部流動との関連性についての検討を行う。
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
E-mail takut@sci.ehime-u.ac.jp