第182回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「下部マントル条件下におけるphaseDの相転移と安定性」
"Phase transition and stability of phase D under the lower mantle
condition"
講師:新名 亨(GRC研究員)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2007年6月29日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 101室
要 旨
地球深部における水の存在形態や運搬過程を明らかにすることは、水がマントル
構成鉱物の物性や流動特性、地震波速度構造などに及ぼす影響を推定する上で非
常に重要である。これまで行われた多くの実験で、水は地表から沈み込むスラブ
によって地球深部へと運搬される可能性が示され、含水wadsleyiteや
lingwooditeと共にDHMS(dense hydrous magnesium silicate)相が重要な水のホ
スト相であることが報告されている。Phase DはDHMS相の中で最も高圧まで安定
であり、下部マントルへ水を運搬する可能性が指摘されているが、その安定領域
については十分に明らかにされていない。また、最近、第一原理計算により、
phase Dの水素結合の対称化が40 GPa付近で起こることが示され、それに伴い体
積弾性率の大きな増加が予想されている。本セミナーではマルチアンビル装置と
放射光を用いたその場X線観察から得られた、phase D の相転移並びにP-V-T関係
について報告する。
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
E-mail takut@sci.ehime-u.ac.jp