第189回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「アジア-西太平洋下における最下部マントル超低速度層の詳細な構造」
"Fine-scale structure of the ultralow velocity zones in the lowermost
mantle beneath the Asia-West Pacific region"
出原光暉(愛媛大学博士3年)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2007年10月18日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 101室
要 旨
地球のマントル最下部に局所的に存在する地震波速度の超低速度層(ULVZ)は、周
囲のマントルとは熱的にも組成的にも大きく異なっていることが示唆されてお
り,地球の核-マントルのダイナミクスを理解する上で重要な役割を担っている
と推測されている。しかし,現在に至るまで,超低速度層のグローバルスケール
での分布と形状はほとんど研究されていない。本研究では,アジア内陸部から西
太平洋に至る広範な領域下の最下部マントルをサンプルした核反射波PcP, ScP波
を用い,この領域下のULVZの分布を詳細に決定した。その結果,オーストラリア
東部下,フィリピン-カリマンタン下,ヒマラヤ下の最下部マントル領域で,
ULVZ起源とみられるシグナルの到達が検出された。本研究では,超低速度構造を
仮定した理論波形計算によってこれらの地域のULVZの厚さや地震波速度・密度構
造を詳細に決定した。また,ULVZの横方向の分布とスラブや地表のホットスポッ
トとの関係について議論する。
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
E-mail takut@sci.ehime-u.ac.jp