第191回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「akimotoite の高温高圧下合成と選択配向の観察
」
"High-pressure and high-temperature synthesis of akimotoite and observation
of the lattice preferred orientation"
館田洋介(愛媛大学修士2年)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2007年11月2日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 101教室
要 旨
低温型スラブが上部マントル深くまで沈み込むと、そのスラブの中心付近は相対
的に高圧低温状態に晒されることとなる。そのような状態になった時、MgSiO3輝
石はイルメナイト構造をもつとされている(Ito and Yamada 1981)。イルメナ
イト構造を持つ MgSiO3 はL6型コンドライト中にて発見されてその存在も明ら
かとなり(Tomioka and Fujino, 1999)、故秋本俊一氏に因んで akimotoite と
名付けられた。
地震学的研究によって、地球内部に地震波速度の異方性が存在することが確認さ れた(Tanimoto and Anderson, 1984)。そして最近、理論的研究によって akimotoite の弾性的異方性が確認され、弾性定数の計算も行われた(Zhang et al., 2005)。マントル遷移層付近の温度圧力条件を実験的に再現し、応力場に おける akimotoite の結晶方位の観察と選択配向の確認を行うことは、地震学的 な異方性と関連付けて地球内部の流動を理解していく上で、非常に重要なことと なる。
本研究では、酸化物粉末から akimotoite を高温高圧合成し、その観察を行っ
た。その結果、準静水圧下で合成した akimotoite と一軸圧縮をかけた
akimotoite とでは、結晶方位の傾向に大きな違いがあることを見出すことが出
来た。本発表では、その結果報告とパイロライト組成を鑑みた2相系実験に関す
る展望を行う。
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
E-mail takut@sci.ehime-u.ac.jp