第196回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「南極宗谷沿岸のマントル不連続面の深さの見積もり」
"Estimation of the mantle discontinuities under the Soya coast region
in Antarctica"
井上智史(愛媛大学博士1年)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2008年1月11日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 101室
要 旨
南極大陸下のマントル構造の研究の例として、表面波や遠地地震を用いた研究があげられる(例えば、Kobayashi and Zhao, 2004; Lawrence et al., 2006)。これらの結果から、南極下の速度や減衰構造、不連続面の形状などが報告されて いる。しかし、その解析手法や南極大陸の観測点分布による制限などから、南極大陸下のマントル遷移層の構造は、北半球の大陸下で得られている結果に比べて解像度が低い。そこで本研究では、昭和基地及び宗谷沿岸露岩域に設置された広帯域地震計で記録された遠地地震波形記録を使用して宗谷沿岸周辺におけるマントル不連続面の深さを推定した。解析には、昭和基地の観測点ならびに、JARE- 37から開始された沿岸観測点で記録された地震波形データを使用した。解析に用いた期間は、昭和基地については1990−2004年、沿岸データについては1999−2007年である。使用した地震は、震央距離30−95度で発生したマグニチュード5.5以上のものである。これらのデータからS/Nのよい波形を選び出し、レシーバー関数(Ammon,1991)を作成した。震源分布の制約により、得られたデータは昭和基地を中心に北から60度―120度の範囲に集中する結果となった。410km、660km不連続面の深さは、それぞれ395km、642kmとなり、標準モデルの値より両方とも浅い。本発表では、これらの深さの見積もりについて検証する。
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
E-mail takut@sci.ehime-u.ac.jp