第201回ジオダイナミクスセミナー
   Geodynamics Seminar

「南極の下の地球深部マントルの異方性構造」
"Anisotropic structure of Earth's deep mantle beneath Antarctica"

臼井 佑介(GRC研究機関研究員)
   主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
   日時 : 2008年4月25日(金)17:00〜
   場所 : 愛媛大学理学部講義棟 室

              

要 旨
 本研究では、マントル対流など地球のダイナミクスを理解するために、上部・下部マントルの異方性について調べた。一般に異方性媒質は、結晶やクラックなどが、ある一定方向に選択配向される応力・歪の場で形成される。異方性を調査することで、マントルの流れの場を知ることができる。本研究では、異方性の強さや分布を調べ、異方性速度構造を推定することにより、その形成過程を含めた南極の下のマントル構造を議論することを目的とする。
 上部マントルについては、南極大陸の過去のテクトニック史から、異方性の形成原因を推定した。観測された異方性は、ゴンドワナ超大陸形成及び分裂時の変動により形成された可能性が高いことが分かった。下部マントルについては、D”層の異方性及び速度不連続面を持つ3つのS波の地震波速度構造を推定した。これらのモデルから、南極周辺の下の最下部マントルは、世界的に見ても地震波速度が速く、温度が冷たく、分厚いD”層がある可能性が高まった。
 今後、地震学的な手法を用いて局所的な構造を丁寧に調べ、他分野の成果と比較、融合することで、地球のダイナミクス解明に貢献していきたい。






        問い合わせ先:土屋 卓久  TEL   (089)927-8198
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