第206回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「地球内部科学における弾性波速度測定研究の現状と愛媛大学グループの位置,そ
してその課題」
"Elastic wave velocity measurement at high pressures and/or high temperatures
in the studies of the Earth's interior"
河野義生(学振特別研究員, GRC)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2008年6月27日(金)※ 17:30〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟1F101室
要 旨
鉱物・岩石の弾性波速度測定研究は,地震学研究により得られている地震波速度構造と組み合わせて,地球内部の化学組成,構造,状態を理解するために重要である.世界中でも同分野の研究者人口は非常に少ないが,近年,ダイヤモンドアンビルセル,マルチアンビル装置と組み合わせたブリリアン散乱測定,X線非弾性測定,超音波測定などにより地球内部,特に上部〜下部マントル領域の圧力,(温度)条件下での鉱物の弾性波速度測定が精力的に行われている.特に,ダイアモンドアンビルセルを用いたブリリアン散乱測定の測定圧力範囲は,Murakami
et al. (2007a, b)により大きく拡大され,室温条件下ではあるが172 GPaまでの
S波速度測定が行われている.一方,高圧かつ高温条件下での弾性波速度測定は,現状ではマルチアンビル装置と超音波測定を組み合わせた実験が先行していると思われる.特に本愛媛大学のグループでは,上部マントルの地温勾配をほぼ満たす条件下での弾性波速度測定に成功しており,本測定実験の下部マントル温度圧力条件下への拡大が望まれる.しかしながら,最近の実験により,下部マントル条件に向けたさらなる高圧かつ高温条件下での弾性波速度測定には多くの課題が存在することが明らかになった.本発表では,弾性波速度測定圧力温度条件に注目し,これら弾性波速度測定研究の現状を簡単に紹介するとともに,マルチアンビル装置+超音波法による下部マントル温度圧力条件下での弾性波速度測定
のための問題点とその解決案を紹介する.
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
E-mail takut@sci.ehime-u.ac.jp