第210回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「グラファイト-ダイヤモンド構造変化における微細組織・構造観察」
"Micro-structural and -textural change accompanied by the graphite-diamond
transition
"
大藤弘明(GRC教員)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2008年7月25日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟1F101室
要 旨
炭素の代表的多形であるグラファイトとダイヤモンドは,硬度をはじめ,光学
的・電気的性質など多面において互いに対照的な物理化学特性を持っており,両
者の構造変化に伴われる活性化エネルギーは非常に高い.ここ最近,講演者ら
は,グラファイト→ダイヤモンド,およびダイヤモンド→グラファイト相転移に伴
われる微細組織・構造の観察を進めており,本講演ではその成果として,「@室
温圧縮グラファイトの微細組織・構造観察」,「A ダイヤモンドのレーザー加工
表面の微細組織・構造観察」の2つの話題を紹介したい.
@では,グラファイトの100 GPaまでの室温高圧実験を行い,室温高圧条件でも
ダイヤモンドができるか?否か?ついての検証を行った.グラファイトの室温加
圧実験については多くの先行研究があるが,回収試料の組織観察から直接検討を
行った例は少なく,高圧下におけるグラファイトの構造変化についての詳細は分
かっていない.本研究では,実験回収試料の微細組織観察を通して,グラファイ
トの高圧挙動に関する新たな見地を得た.
Aでは,近年大きく注目されている短パルスレーザーを利用したダイヤモンド
加工と加工断面における微細組織の観察結果を紹介する.従来の研究では,レー
ザー加工表面の物性評価は主にラマン分光観察や光学顕微鏡を用いて行われ,加
工表面における微細組織を詳細に観察した例はなく,短パルスレーザーによるダ
イヤモンドの切削プロセスは物質科学的によく理解されていない.そこで,本研
究では物理化学的特性の異なる3種類の合成ダイヤモンド:@Type Ib,AType
IIa,Bナノ多結晶ダイヤモンドについてレーザー切削加工を行い,その加工表面
の詳細な組織観察を初めて行っ
た.
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
E-mail takut@sci.ehime-u.ac.jp