第212回ジオダイナミクスセミナー
   Geodynamics Seminar

「マルチアンビル装置のための圧力定点再考」
"Pressure-induced metallization and phase transition in GaP, GaAs, ZnS and ZnTe"

國本健広(愛媛大学博士3年)
   主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
   日時 : 2008年10月10日(金)17:00〜
   場所 : 愛媛大学理学部講義棟1F101室

              

要 旨
 圧力定点は高圧実験における圧力指標として用いられる。例えば“First International Pressure Calibration Workshop (1997三朝)” では室温下におけ る圧力定点と高温下での圧力基準となり得る相転移境界が選択されPreliminary International Pressure Scale (PIPS-97)として報告された。しかしPIPS-97に 記載された圧力定点は、電気抵抗変化(金属化)もしくは構造転移のいずれかの情 報を基に決められている場合が多い。また、GaPの相転移はDAC+ルビースケー ル、GaAsに対してはプレス+NaClスケールというように実験手法及び圧力スケー ルも統一されていない。本研究では試料の電気抵抗とX線回折の同時測定を行 い、また複数の圧力マーカーを用いて圧力の決定を行う事によって、圧力定点の 改定を目指している。X線その場観察実験はSPring-8のBL04B1に設置されている 川井式マルチアンビル型高圧発生装置を用いて行った。試料はGaP, GaAs, ZnS及 びZnTeを粉末の状態で使用した。加圧過程において試料の電気抵抗、試料及び圧 力マーカーのX線回折パターンを収集し、試料の電気抵抗変化と構造転移を同一 の実験内で観測した。圧力マーカーはAu, MgO及びNaClを1:10:10の重量比で混合 した物を使用し、複数の状態方程式より圧力を見積もった。また、弾性波測定か ら決定されたMgOのPV関係式による圧力の見積りを行った。PIPS-97に記載された 圧力定点は現在でも研究室における圧力指標として広く使用されているが、本研 究結果からその一部に改善の余地が見出された。発表では同研究の詳細について 議論します。




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