第214回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「沈み込みスラブに伴う地表から遷移層への 水の運搬に関する地震学的観測・推測」
"Seismologically inferred water transportation to the mantle transition
zone with a subducting slab "
山田 朗(GRC教員)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2008年10月31日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟1F101室
要 旨
高圧実験によってマントル遷移層鉱物(wadsleyite, ringwoodite)に数wt%の水が含まれうることが確かめられている.それらを受け,実際のマントル遷移層の水の存在を地震学的に推測する研究が行われている(Blum
& Shen [2003], Suetsugu et al.[2006]など).これらの地震学的推定結果は,高圧実験による含水量の見積もりと調和的である.また,特定の地域で発見されている410km不連続面直上の地震学的低速度層の解釈として遷移層直上の含水メルトが示唆されている(Revenaugh
& Sipkin [1994], Song & Helmberger [2004]).マントル遷移層に水が存在し,かつ,地表から運ばれたとするならば,その運搬の担い手は沈み込みスラブであろう.本発表では,沈み込みスラブに伴う地表からマントル遷移層までの水の運搬に関する地震学的な観測・推測のレビューを行う.主なトピックは以下の3点である.1)
プレート内部への水の供給場所と考えられるアウターライズから海溝までの沈み込み直前の正断層構造
2) 上部マントル中の沈み込みスラブ上面における,含水層と思われる低速度異常構造
3) 地震学の観測結果によるマントル遷移層での含水量の見積もり.
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
E-mail takut@sci.ehime-u.ac.jp