第219回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「PcP,PKiKPを用いた日本列島下におけるCMB, ICBの構造推定」
"Structures of CMB and ICB regions beneath the Japan Islands inferred
from PcP and PKiKP waves"
柴田直秀(愛媛大学修士2年)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2008年12月12日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 101教室
要 旨
組成対流の上下の境界であるCMBとICBの構造を推定することは地球ダイナミクスを推定する上で重要である。本研究ではCMBで反射するPcP波,ICBで反射するPKiKP波を用いてCMB,ICBの構造を推定する。PcP,PKiKP波を用いた研究はこれまでにいくつかなされてきたが震央距離が30°以上でしか検出できない例が多く、マントルの不均質構造の影響を強く受けるためにPcPとPKiKPの正確な振幅比と相対走時残差が得られたとはいえない。本研究ではHi-net(高感度地震観測網)で記録された地震波形を用いている。Hi-netは日本全体に高密度で分布しており,広範囲にわたって日本下のCMB,ICBの構造を見ることができる。また、ほぼ鉛直に入射するPcP,PKiKP波(震央距離が30°以下)を他の観測アレイと比べてより多く検出することが可能である。
震央距離が30°までに得られたPcP,PKiKP波の検出から相対走時残差は約-0.5~0秒
(平均0.32秒)であり,全体的に負の値をとることが分かった。また震央距離が大きくなれば系統的に残差の値は大きくなるはずであるが本研究では系統的な変化はみられずマントルの不均質の効果を取り除くことができた。
PcP/PKiKP振幅比の関係はPREMの値よりも小さな値をとることがわかった。
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
E-mail takut@sci.ehime-u.ac.jp