第222回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「第一原理計算による下部マントル鉱物の融解関係の予測 〜核-マントル境界における部分融解の可能性について〜」
"Melting relation of the lower mantle minerals predicted from first-principles
simulations ~On the possible partial melting at the core-mantle boundary~"
八幡直也(愛媛大学修士1年)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2009年2月6日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 101室
要 旨
地球の核-マントル境界(CMB)では地震波超低速度層(ULVZ)が観測されており、P 波で~10%、S波で~30%の速度低下がみられる。ULVZはCMBのダイナミクスを理解す る上で重要な役割を担っていると推測されており、その原因の一つとしてマントル物質の部分融解が挙げられる。しかしながら、超高温・超高圧条件下での実験 が技術的に困難なため、その融解関係はまだよくわかっていない。そこで、我々の研究室では下部マントルの主要構成物質であると考えられているMgOとMgSiO3 の研究を行い、共融系相関係の予測を行ってきた。沈み込んだ海洋地殻が部分融 解を起こしている可能性を想定すると、さらにSiO2に富むMgSiO3-SiO2共融系相関係の予測も行う必要がある。共融相関係は端成分の熱力学量から予測できるが、現在のところSiO2の融解曲線は経験的原子間ポテンシャルを用いた古典MD法 による研究例(Belonoshko and Dubrovinsky, 1995)があるのみで、その信頼性の 検証が望まれる。そこで、本講演では第一原理計算法によって決定したSiO2の融 解曲線と、それに基づいたMgSiO3-SiO2共融相関係の予測結果を示す。
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
E-mail takut@sci.ehime-u.ac.jp