第224回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「ポストペロブスカイトの物性科学」
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大串研也(東京大学物性研究所)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2009年2月27日(金)17:00〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟1F101室
要 旨
高圧地球科学、地震学、計算物理学の三分野で執り行われた学際融合的研究の結果、マントル最深部であるD”層の主要構成鉱物がポストペロブスカイト型
MgSiO3であること[1]に疑いの余地は無くなった。現在の地球科学的興味は、ポストペロブスカイト相の示す物理的化学的性質を調べ、物性発現の微視的機構を明らかにする所に移っている。既に、弾性波速度の測定がなされ、また一軸圧力下での選択配向が観察されている。
本講演では、こうした地球科学の枠組みを超えて広がりつつあるポストペロブスカイトの科学に関して、二つのトピックスを紹介する。一つは、新物質CaPtO3 の合成である。その構造データを基に「ポストペロブスカイトの結晶化学」を論じる[2]。他方は、フィリング制御型金属絶縁体転移を示すCa1-xNaxIrO3の開発である[3]。擬二次元系の反強磁性Mott絶縁体であるCaIrO3へキャリアを注入すると、反強磁性金属相を経ず常磁性金属に転移することを示す。
[1] M. Murakami, K. Hirose, K. Kawamura, N. Sata, Y. Ohishi: Science,
304, 855 (2004).
[2] K. Ohgushi, Y. Matsushita, N. Miyajima, Y. Katsuya, M. Tanaka, F.
Izumi, H. Gotou, Y. Ueda, T. Yagi: Phys. Chem. Minerals, 35, 189 (2008).
[3] K. Ohgushi, H. Gotou, T. Yagi, Y. Kiuchi, F. Sakai, Y. Ueda: Phy.
Rev. B, 74, 241104 (2006).
問い合わせ先:土屋 卓久 TEL (089)927-8198
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