第227回ジオダイナミクスセミナー
   Geodynamics Seminar

「大陸下のマントルと水」
"Cratonic mantle and Water"


松影香子(グローバルCOE准教授, GRC) 

   主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
   日時 : 2009年3月27日(金)17:00〜
   場所 : 愛媛大学理学部講義棟1F101室

              

要 旨
 実際の地球深部マントルを直接手にとって観察することは現状では(あるいは未来においても)不可能であり、再現実験や理論計算の手法による研究が主流である。しかし、考えうる地球内部進化プロセスのうち、実際の地球を真に説明するものがどれであるかの判断においては、じかに得られる地球物質の化学的多様性をそのモデルですべて矛盾無く説明できることが必要である。本セミナーでは、天然のマントルかんらん岩の不均質性とその成因を考えることによって、岩石学から見た地球マントルの進化の謎について議論する。特に大陸下のマントルは固相濃集元素とされているMgと液相濃集元素とされているSiやAlの両方に富んでいるという矛盾した化学的特徴を有している。このような大陸マントルの特徴の成因として、おもに、次の二つが考えられる。(1)パイロライトよりも太陽系の始源物質に近い化学組成を持った物質から形成された。(2)水に飽和したパイロライト的物質から形成された。これら二つのモデルの妥当性について考察しながら、地球マントルの始源物質に関する再考と地球深部水の役割の重要性について議論し、今後やるべきの研究に関しても述べる。





        問い合わせ先:土屋 卓久  TEL   (089)927-8198
                       E-mail  takut@sci.ehime-u.ac.jp