第35回ジオダイナミクスセミナー
   Geodynamics Seminar

 「スピネル-レルゾライトに適用できる超高精度
  地質圧力計の開発」
  
   講師:山本 順司
     (東京大学大学院理学系研究科附属地殻
      化学実験施設研究機関研究員)
   
     
     主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
     日時 : 2002年3月18日(月) 午後17時〜
     場所 : 愛媛大学理学部講義棟 201教室
要 旨
 スピネル相のマントル物質には有効な 地質圧力計が存在しない.スピネルの安定圧力範囲は深さにすると30km〜60km程の範囲に過ぎないが, 日本に産出するマントル捕獲岩の殆どはこの相のものであり,マントルの研究では化学的にも物性的に もかなり理解が進んでおり,マントルの三次元的な構造を議論するためこの相に適用できる高精度の 地質圧力計の開発が嘱望されてきた.そこでこの相に精度の高い圧力軸を入れるべく地質圧力計の開発 に挑んだ.マントル捕獲岩には時折流体包有物が観察される.もしこの包有物がマントルで封入された後, 長期間存在していたものならば,マントルにいた当時の包有物の内圧は周囲の圧力と同じであったはずである. そこでこの流体(主に二酸化炭素)の現在の密度と状態方程式を用い,マントルでの温度を比較的精度の高い地質温度計 (輝石温度計)から求めれば,この流体がマントルに存在していた時の圧力を復元できる. つまり,この流体の封圧が地質圧力計として利用できる可能性がある.
  



        問い合わせ先:井上 徹  TEL   (089)927-9658
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