第57回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
「東北日本弧の地震テクトニクス」
講師:海野徳仁(東北大院理学研究科附属地震・
噴火予知研究観測センター・助教授)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2003年1月10日(金)午後17時〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 201教室
要 旨
典型的な沈み込み帯のひとつである東北日本弧の地震活動の特徴について,東北大学地震観測網の観測データの解析からわかってきた
ことのいくつかを紹介する.
●現在の微小地震活動から明らかとなった過去の大地震の震源断層東北地方のいくつかの地域の地震発生頻度は,余震の規模別頻度分布と大森公式から推定される過去(約100年前〜数10年前)の大地震の余震のそれにほぼ等しい.これらの余震の震源分布やメカニズム解から,過去の大地震の震源断層や発震機構を推定することができる.
●地震発生層の上限・下限の深さ分布
浅発地震の震源の深さを精度良く決定することにより,地震発生層の上限・下限の深さ分布が推定できる.東北日本弧では,上限・下限は火山地域では浅く,活断層である千屋断層[1896年陸羽地震(M7.2)の地震断層]の下では深くなっている.
●1996年宮城県鬼首の地震活動の特徴
活火山・地熱地域で発生した地震活動(M5.9,N5.7)は,地震波速度構造や地熱構造と密接に関連しているようにみえる.
●地震波反射体の内部構造の推定
地震発生層の直下の下部地殻や最上部マントルに見いだされた顕著な地震波反射体は,内部に水が存在するクラックモデルで説明が可能である.
問い合わせ先:山崎 大輔 TEL (089)927-8408
E-mail yamazaki@sci.ehime-u.ac.jp