第58回ジオダイナミクスセミナー
Geodynamics Seminar
(前 半)
「含水アルミナスペロブスカイトの合成とその置換機構」
〜Synthesis of hydrous aluminous perovskite and the
substitution mechanism 〜
講師:実平 武(愛媛大博士後期課程2年)
主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
日時 : 2003年1月24日(金) 午後17時〜
場所 : 愛媛大学理学部講義棟 201教室
要 旨
最近AlやFeの固溶したMgSiO3ペロブスカイトにH2O成分が固溶することが報告されるようになった。特にH2O成分が固溶するサイトとして無水のアルミナスペロブスカイト中に形成される酸素欠陥が注目されているが、どのような置換機構により含水アルミナスペロブスカイトが生成するのか具体的に研究が行われた例はない。そこで本研究では様々なAlの量をもつ出発物質から含水のアルミナスペロブスカイトを合成しその置換機構を明らかにすることを試みた。結果としてアルミナスペロブスカイト中の含水量はAl〜2.5mol%のとき約0.3wt%で飽和量に達することを明らかにした。又、この結果を酸素欠陥中をすべてOH基が満たしたときに計算される理論上の含水量と、実際の組成データとの比較から検討したところ〜0.3wt%という実測値と調和的であることがわかった。さらに含水アルミナスペロブスカイトの置換機構としては、含水量が飽和に達するAl〜2.5mol%まではAlがSiのサイトに入りやすい傾向にあるため、それに応じて形成されるアルミナスペロブスカイトの酸素欠陥の中にOH基として固溶し、Al〜2.5mol%以上ではチェルマック置換が主に起きるため含水量は増加しないと考えられる。
問い合わせ先:山崎 大輔 TEL (089)927-8408
E-mail yamazaki@sci.ehime-u.ac.jp