第76回ジオダイナミクスセミナー
   Geodynamics Seminar

   「マントル遷移層における温度と水含有量の推定」
 "Temperature and water content in the mantle
  transition zone as inferred from tomographic
  images and topography of the mantle discontinuities"

        講師:末次 大輔
 (固体地球統合フロンティアセンターグループリーダー)

     

     主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
      日時 : 2003年9月26日(金)

     場所 : 愛媛大学理学部講義棟 201教室

要 旨
 震学的に推定された地震波速度異常とマントル不連続面の深さから、マントル 遷移層における温度異常と水の含有量を推定した。最近の井上らの高圧高温実験 によって、マントル遷移層に多量の水が含まれうることがわかってきた。特に沈 み込み帯ではプレートによって持ち込まれた水が遷移層に蓄えられる可能性があ る。水の存在は地震波速度やマントル不連続面の深さに影響を与える。しかし、 速度や不連続面の深さは温度によっても影響を受けるため、速度か不連続面深度 単独では温度・水の影響を分離して推定することはできない。本研究ではトモグ ラフィーによって推定された地震波速度と、反射波や変換波によって推定された 660km不連続面の深さを同時に解析してフィリピン海のマントル遷移層における 温度異常と水の量を推定し、300-500度の低温と0.6-0.8重量%の水の存在という 結果を得た。



        問い合わせ先:山崎 大輔  TEL   (089)927-8408
                    E-mail  yamazaki@sci.ehime-u.ac.jp