第83回ジオダイナミクスセミナー
   Geodynamics Seminar

 「660Km不連続面付近におけるパイロライトとMORBの
  相変化と密度変化」
 "Phase transformations and density changes in pyrolite and
  MORB at pressure near the 660km seismic discoutinuity"
                
       講師:実平 武(愛媛大博士3年)
                 

      主催 : 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
       日時 : 2003年12月19日(金)
      場所 : 愛媛大学理学部講義棟 201教室
要 旨
 パイロライトは地球深部マントルの代表的な組成をもつ仮想的な岩石である。一方、MORBは典型的な海洋リソスフェアを構成する岩石であり、地球深部へと沈み込んでいる。これらの岩石の地球深部における密度の関係はマントル中における海洋リソスフェアのダイナミクスに関する重要な情報を与える。  
 岩石の高温高圧下での密度変化はこれまで主に二つの方法により決定されてきた。1)急冷回収実験による高温高圧下での岩石の相関系の決定、2)岩石を構成している各鉱物の状態方程式を使用して高温高圧下での密度を計算する。
 本研究では、密度決定に関する新たな試みとして、X線その場観察実験による岩石中の各鉱物の体積測定と回収試料の化学組成分析により、岩石の高温高圧下での相変化と密度変化を直接決定することを試みた。  
 密度決定に関する議論を行うにあたり、これまで主要な方法とされてきた状態方程式からの計算も化学組成のデータを統一して行った。その結果、状態方程式の選択によってそれぞれの鉱物の密度が異なることがわかった。これは主に体積弾性率の組成依存性に起因すると考えられ、今後、組成の効果を考慮した詳細な鉱物の物性データの蓄積が重要であると考えられる。



        問い合わせ先:山崎 大輔  TEL   (089)927-8408
                    E-mail  yamazaki@sci.ehime-u.ac.jp