並列計算クラスタシステム(GRC-PCS)
        
写真1:Itenium2クラスタシステム
写真2:PentiumD及びPentium4クラスタシステム
  電子状態計算をはじめとする中大規模物性シミュレーション用クラスタ計算機システム (GRC-Parallel Computing System)が、防音、空調を強化し新たに作られた計算機室 (総合研究棟1F情報処理室内)に設置されました。今年度はItenium2(写真1), PentiumD (写真2上段), Pentium4(写真2下段)の3種の分散メモリ型並列計算システムを導入しました(図1)。
 Itenium2システム(almandine)は、4ノード計8CPU構成で合計28GBの大容量メモリを搭載し、 豊富なリソース利用を主目的とした大規模・高負荷計算用のシステムとなっています。 搭載Itenium2は、米国のチップメーカIntelのハイエンド64bit CPUでクロックスピード1.6GHz、 9MBの大容量2nd Cacheを有しており、ノード間通信効率を除けば実質的には最近の(スカラー型) スーパーコンピュータと同様の性能を持つ現状でのハイエンドモデルです。
 Intelの最新技術であるDual Coreシステム採用64bit CPUであるPentiumD(3.2GHz, 2MB 2nd Cache) を用いたシステム(pd32a)は、シングルCPU/ノード、実質4ノード計8CPU相当のパフォーマンスを持ち、 メモリは各ノード2GB合計8GBです。このシステムは4台の新規購入PCを自分でクラスタ化したもので、 Dual Core及び64bit CPU対応の最新OSによるシステム構築からMPIライブラリ導入、Gigabit Ether 接続まですべて自前で行っています。8CPU並列時で従来のシステムに比べ10〜20倍の実効演算量が得られています。
 Pentium4システム(xe24a)はメモリ合計8GB、以前から所持していたPCをかき集め、CPUやネットワーク部材を ハイスペックなものに換装するなどなるべくパフォーマンスがあがるように工夫して構築した、 Pentium4(5CPU)やXeon(2CPU×2ノード)の混在システムです。

   
       図1:GRC-PCSネットワーク構成図

 それぞれのシステムは最適なバージョンのLinux OS、Fortranコンパイラ、Cコンパイラの最新バージョン、 MPI(Massage Passing Interface)ライブラリ、数値計算ライブラリ(MKL, FFTW)を実装しています。 各ノード間通信にはGigabit Etherを用いており、単体のワークステーションなどでは到底不可能な 規模の計算が効率的に実行可能です。また、これらはネットワークを通して外部から遠隔操作が可能です(図1)。 ゲートウェイマシンであるgrossular(写真2下段左端)へは学内外を問わず世界中どこからでも本計算システムを 利用可能です(almandineには例外的にGRCドメインからのみダイレクトにアクセス可能)。実際、筆者は海外出張の際、 空港での待ち時間を利用し(最近は国際空港ともなるとだいたい無線LANのアクセスポイントがあります) ノートパソコンと無線LANで本計算システムに接続しシミュレーションを行いました。
 計算機の演算能力は年々着実に向上していますが、その分より大規模な計算を要する研究にチャレンジすることになるので、 いつまでたっても計算機容量が満ち足りると言うことはありません。来年度以降も常に最新技術を取り入れ、最適な計算機環境構築を続けていく予定です (土屋卓久)。

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