Wentian Wuさんの論文の紹介記事が科学新聞に掲載
2024年11月22日の科学新聞に、Wentian Wuさん(D3)と、西原游教授らの論文が紹介されました。
<論文紹介>
高圧含水鉱物の変形によって起こる地球マントル深部の地震波異方性
【研究のポイント】
・地球のマントル深部の温度圧力で高圧含水鉱物D相の変形実験を行ないました。
・D相の変形では底面((0001)面)に沿ったすべり変形が支配的であることが分かりました。
・D相の変形によって生じる結晶選択配向がマントル深部の地震波速度の異方性の原因の一つかもしれません。
【研究の概要】
高圧含水鉱物の一つで地球のマントル遷移層から下部マントル上部に存在すると考えられているD相を、高温高圧条件(圧力20 GPa、温度500~1000℃)で変形しました。圧縮変形や剪断変形などの異なるスタイルの変形実験の結果を総合すると、D相の変形では結晶構造中の底面((0001)面)に沿ったすべり変形が卓越しており、これによって、結晶が特定の方位に配列する結晶選択配向が起こることがわかりました。このことから、沈み込み帯付近のマントル深部で観測されている地震波速度の異方性の一部はこのD相の存在によってうまく説明できることが明らかになりました。
Crystallographic Preferred Orientation of Phase D at High Pressure and Temperature: Implications for Seismic Anisotropy in the Mid‐Mantle,
Wentian Wu, Yu Nishihara, and Noriyoshi Tsujino,
Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 129, e2024JB029734. 2024 (October 8)
https://doi.org/10.1029/2024JB029734