入舩センター長らが透明ナノセラミックスの合成に成功
酸化物などの微細な結晶を焼き固めたセラミックスは、古くから陶器やレンガ・瓦など様々な利用がされてきました。通常のセラミックスは不透明ですが、近年光の散乱・吸収源となる空孔や不純物のないセラミックスが開発され、「透明セラミックス」として、レーザーや光学レンズなどに応用されています。従来の透明セラミックスは、通常1ミクロン(1000分の1ミリ)~100ミクロン程度の結晶の粉末を大気圧下で焼き固めた(焼結)ものですが、結晶のサイズをこれより更に小さくして、0.1ミクロン(100ナノメートル)以下の「ナノサイズ」にすると、セラミックスの透明性が向上するとともに、硬さも増す「透明ナノセラミックス」ができるのではないかと予想されていました。
GRCの入舩教授らのグループは、通常の焼結法と比べてはるかに高い10万気圧以上の超高圧と、1400℃程度の温度を加えることにより、透明ナノセラミックスの一種である「透明ナノ多結晶ガーネット」の合成に成功しました。得られたナノ多結晶ガーネットは、30ナノメートル程度の超微細結晶からなり、宝石などに使われる単結晶ガーネットと同程度の透光性とともに、単結晶に比べて約30%高い硬度を有することも明らかになりました。
この研究成果は、イギリスネイチャー出版のオンラインジャーナルNature Communications誌の12月7日号において公開されました。
【発表論文】
Tetsuo Irifune, Koji Kawakami, Takeshi Arimoto, Hiroaki Ohfuji, Takehiro Kunimoto, Toru Shinmei, Pressure-induced nano-crystallization of silicate garnets from glass, Nature Communications, doi: 10.1038/NCOMMS13753, 2016.
【参考HP】
論文HP http://www.nature.com/articles/ncomms13753
Nature Communications http://www.nature.com/ncomms/