100万気圧4000度の極限条件下で液体鉄の密度の精密測定に成功
〜地球コアの化学組成推定に向けた大きな一歩〜
東京大学の廣瀬敬教授らの研究チームは、桑山靖弘特任助教、熊本大学の中島陽一助教、また愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センターの土屋卓久教授らとともに、大型放射光施設SPring-8を利用して、地球の液体金属コアの主成分である液体鉄の密度を、100万気圧4000度という、コアの環境とほぼ同じ超高圧高温の極限条件下で決定することに成功しました。
今回得られた超高圧下の液体鉄の密度は、地球の外核の密度に比べて約8%大きいことがわかりました。内核の密度のことまで考えると、従来有力な不純物とされてきた酸素ではこの密度差を説明することができないため、水素など他の軽元素の存在が示唆されます。これは、地球科学で第一級の問題とされてきたコアの化学組成の見積もりに向けた大きな一歩になります。
本研究成果は、日本時間4月23日(木)に米国物理学会誌『Physical Review Letters』に”Equation of State of Liquid Iron under Extreme Conditions”(極限条件下における液体鉄の状態方程式)というタイトルで掲載される予定です。また本論文は、『Physical Review Letters』誌において、特に注目すべき論文(PRLエディターズ・サジェスチョン)として紹介される予定です。