~巨大惑星深部科学・物性科学の発展へ貢献~
GRC超高圧科学部門の境毅准教授は、高輝度光科学研究センター、大阪大学大学院基礎工学研究科附属極限科学センター、大阪公立大学との共同研究によって、9つの物質(鉄、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、白金、金、酸化マグネシウム、塩化ナトリウム)について、地球中心圧力を超える最大 430 万気圧までの圧力と体積の関係(状態方程式)を決定することに成功しました。状態方程式は高圧実験において“圧力計”として用いられますが、本研究でこれら9つの状態方程式が相互に整合的となったため、数百万気圧の極高圧実験においてどの物質を“圧力計”として使うかによって生じていた今までの圧力値推定の矛盾が解消されました。
本研究の結果は地球中心圧力を超える極高圧領域に適用可能な“圧力計”を提供します。これにより、天王星や木星、あるいはスーパーアースのような系外惑星といった地球よりも大きな惑星の深部に対応するような圧力をより正確に見積もることが可能になり、今後の惑星深部研究に役立ちます。また惑星科学に限らず、超伝導研究に代表される高圧物質科学分野にも広く用いられることが期待されます。
掲載紙:Communications Materials
題名:The equations of state of nine materials up to 0.43 TPa for extreme pressure science
(和訳)極限圧力下の科学のための0.43テラパスカルまでの9つの物質の状態方程式
著 者:Takeshi SAKAI, Hirokazu KADOBAYASHI, Yuki NAKAMOTO, Haruhiko DEKURA, Naoki ISHIMATSU, Saori KAWAGUCHI-IMADA, Yusuke SETO, Oki SEKIZAWA, Kiyofumi NITTA, Katsuya SHIMIZU
doi:10.1038/s43246-025-00792-5