高圧下でのSiO2ガラスの四面体構造変化のX線その場観察に成功
GRCの河野義生准教授と、高輝度光科学研究センター、山梨大学、理化学研究所の共同研究者からなる共同研究チームは、大型放射光施設SPring-8のBL05XU、BL37XUビームラインにおける高強度の高エネルギーX線を活用することでSiO2ガラスの高圧下における構造変化の解明に成功しました。
SiO2液体・ガラスは圧力下において異常な密度変化や圧縮率変化をすることが知られており、そのメカニズムの理解は物理学のみならず、地球・惑星内部におけるケイ酸塩マグマの理解や、材料科学における酸化物ガラス材料の特性の理解などの幅広い科学分野において重要な未解明問題となっています。これまでの理論研究によって、SiO2液体中の四面体構造の存在と、圧力・温度によるその割合の変化がSiO2の異常特性の構造的起源であることが提唱されてきましたが、その実験的な証拠は確認されていませんでした。
本研究では、高圧その場環境下におけるX線構造解析の実験を行い、実験結果を逆モンテカルロ解析、分子動力学シミュレーションと組み合わせることで、四面体構造の存在やその高圧下における崩壊を実験的に捉えることに成功しました。
本研究成果は、英国の科学雑誌「Nature Communications」に4月28日に掲載され、さらに同雑誌のEditors’ Highlightsウェブページにおいて、Inorganic and physical chemistry分野におけるFeatured articlesに選ばれています(https://www.nature.com/collections/wtpqpqpgwd”)。