300万気圧を超える圧力下で金属鉄の音速測定に成功
内核の構造と化学組成は、地球科学における未解明の最重要課題の一つであり、高圧下での金属鉄の音速はそのための重要な手掛かりの一つです。東北大学大学院理学研究科の生田大穣博士らは、理化学研究所放射光研究センターのグループ、およびGRCの境毅准教授と共同で、SPring-8 の放射光X線と、ダイヤモンドアンビルセルを用いた静的高圧実験により、音速測定の測定圧力条件を先行研究の2倍に相当する300 GPa以上に拡張し、地球の内核境界に相当する圧力下での金属鉄の音速測定に初めて成功しました。
この結果、本研究で明らかにされた金属鉄の音速と比べ、地震学的研究により決定されている内核の音速は、縦波速度で4%、横波速度で36%遅いことが分かりました。このことから、地球の内核は、硫黄とケイ素を多く含むが酸素に乏しい特徴を持つことが示唆されました。なお、本研究における300 GPa領域での非弾性X線散乱データの収取には、境毅准教授によるGRCの集束イオンビーム加工装置(FIB)を用いた高度なダイヤモンドアンビル微細加工が重要な役割を果たしました。
本研究成果は、日本時間2022年11月25日午後6時公開のNature Communications誌に掲載されました。
【参考HP】
・Nature Communications