超高圧を利用した耐熱性透明セラミックスを開発

得られた窒化ケイ素の透明セラミックス

 東京工業大学科学技術創成研究院フロンティア材料研究所の西山宣正特任准教授(研究実施時はドイツ電子シンクロトロン研究員、元GRC准教授)らの、日独共同研究グループ(東工大、ドイツ電子シンクロトロン、物質・材料研究機構、バイロイト大学、東大、愛媛大)は、砂と空気、それぞれの主要元素であるシリコン(ケイ素)と窒素からなる窒化ケイ素(Si3N4)から、全物質中で3番目に硬い透明セラミックスの合成に成功しました。

 自動車のエンジン部品にも使用される耐熱セラミックスである窒化ケイ素に高い圧力と高い温度をかけることにより、大気圧下では合成することができない“スピネル型窒化ケイ素”のセラミックス焼結体を超高圧下で合成しました。得られた試料は、レンズや窓に使われる物質と同等の透明さを持つことが確かめられました。今回得られたスピネル型窒化ケイ素の透明セラミックスは、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素に次いで全物質中で3番目の硬さをもつ物質であり、さらに空気中で1,400 ℃の高温まで耐えられることが明らかになりました。このため過酷な環境で使われる装置の光学窓材料としての利用が期待できます。
 本研究にはGRCの大藤弘明教授・入舩徹男教授が共同研究者として参加しています。両氏らの研究グループは、2016年12月にやはり超高圧合成法により、高い透明性と硬度を有する透明ナノセラミックス(ヒメガーネット)の合成に成功し、Nature出版社のオープンアクセスジャーナルNature Communicationsに発表しています。

透過型電子顕微鏡像

 本研究成果は、3月17日にNature出版社のオープンアクセスジャーナルScientific Reportsに掲載されるとともに、東工大、ドイツ電子シンクロトロン、物質・材料研究機構においてプレスリリースされました。

【発表論文】 Transparent polycrystalline cubic silicon nitride, Norimasa Nishiyama, Ryo Ishikawa, Hiroaki Ohfuji, Hauke Marquardt, Alexander Kurnosov, Takashi Taniguchi, Byung-Nam Kim, Hidehiro Yoshida, Atsunobu Masuno, Jozef Bednarcik, Eleonora Kulik, Yuichi Ikuhara, Fumihiro Wakai, Tetsuo Irifune, Scientific Reports, doi:10.1038/srep44755, 2017.



【参考HP】
・論文HP http://www.nature.com/articles/srep44755
・共同研究機関HPでの紹介
  東京工業大学 http://www.titech.ac.jp/news/2017/037704.html
  ドイツ電子シンクロトロン(DESY)
  http://www.desy.de/news/news_search/index_eng.html?openDirectAnchor=1200&two_columns=0″
  物質・材料研究機構(NIMS)http://www.nims.go.jp/news/press/2017/03/201703161.html
・GRCの透明ナノセラミクス合成 https://www.ehime-u.ac.jp/post-39298/

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