深発地震発生の新しいメカニズムを提案
GRCの大内智博准教授と入舩徹男教授、高輝度光科学研究センターの肥後祐司研究員らの研究チームは、今まで不明だった深さ400~600 kmで発生する「深発地震」の発生原因の解明につながる実験に成功しました。 深発地震が発生する地下条件に相当する高温高圧下での地震発生モデル実験によって、特定の温度(850℃周辺)のみにおいてカンラン石のナノ粒子化が進行し、このナノ粒子層への変形エネルギーの集中と部分的溶融が起きる結果、深発地震に至ることを明らかにしました。
本研究の結果は、長年謎に包まれていた深発地震の発生メカニズムの有力な説明になるとともに、深発地震の発生がプレート深部の特定の場所(「準安定カンラン石ウェッジ(MOW)」と呼ばれる領域の表面付近)に限定されることを意味しています。今後、そのような領域を継続的に監視することによって、深発地震の発生場所・発生頻度・規模などをモデル化するための手掛かりが得られるものと期待されます。
【論文】
Tomohiro Ohuchi, Yuji Higo, Yoshinori Tange, Takeshi Sakai, Kohei Matsuda and Tetsuo Irifune, In situ X-ray and acoustic observations of deep seismic faulting upon phase transitions in olivine, nature communications, 13, 5213, https://doi.org/10.1038/s41467-022-32923-8, 2022.
【参考HP】
・Nature Communications:https://www.nature.com/ncomms/
・愛媛大学プレスリリース:https://www.ehime-u.ac.jp/data_relese/pr_20220915_grc-2/