超高圧実験により初期地球大酸化イベントを提案
GRCの桑原秀治助教と入舩徹男教授、海洋研究開発機構(JAMSTEC)高知コア研究所の中田亮一主任研究員、JAMSTECの門屋辰太郎Young Research Fellow、岡山大学惑星物質研究所の芳野極教授の研究チームは、巨大天体衝突によって生じる深いマグマオーシャン中で生成する3価鉄の量を決める実験に成功しました。その結果、下部マントル圧力条件下では理論予測よりもはるかに効率よく 2 価鉄の電荷不均化反応によって 3 価鉄と金属鉄が生成することを明らかにしました。
本研究の結果は、地質記録から示唆されている、40億年前より以前(冥王代)の非常に酸化的な上部マントルを定量的に説明することができます。また、当時の火山ガス組成が二酸化炭素や二酸化硫黄主体であり、原始生命にとってとても過酷な表層環境が形成したことが示唆されました。今後、地質記録により、提案したマントル大酸化の詳細な検証が期待されます。
本研究成果は、英国の科学雑誌「Nature Geoscience」に2023年5月5日付で掲載され、同誌のNews & Views 欄でも紹介されました。
【論文】
Hideharu Kuwahara, Ryoichi Nakada, Shintaro Kadoya, Takashi Yoshino & Tetsuo Irifune, Hadean mantle oxidation inferred from melting of peridotite under lower-mantle conditions, nature geoscience, https://doi.org/10.1038/s41561-023-01169-4, 2023.
【参考HP】
・Nature Geoscience:
https://www.nature.com/ngeo/
・Nature Geoscience “News & veiws” :
https://www.nature.com/articles/s41561-023-01178-3
・愛媛大学プレスリリース:
https://www.ehime-u.ac.jp/data_relese/pr_20230501_grc/