大藤弘明准教授らが天然版ヒメダイヤを報告(10/1)

大藤弘明GRC准教授

大藤弘明GRC准教授

 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)の大藤弘明准教授,入舩徹男教授(東京工業大地球生命研究所兼任)他と,ロシア科学アカデミーK. D. Litasov教授他からなる日露共同研究チームが,シベリアの巨大隕石クレーターで発見されたダイヤモンドが天然版のナノ多結晶ダイヤモンドであることを発表しました。

 ロシアシベリア北部のPopigaiクレーターは、直径100kmにおよぶ隕石クレーターです。1970年代にはその周辺にダイヤモンドが発見されていますが,その詳細については長い間謎でした。2012年にロシア政府関係者により,このダイヤモンドは通常のダイヤモンドより硬く,また数兆カラットと極めて大量に存在する可能性があることが発表され,国際的にも注目を集めています。

 大藤准教授らGRCのグループは,ロシア科学アカデミーのLitasov教授らから10個のPopigaiダイヤモンドを入手し,GRCの集束イオンビーム微細加工装置と透過型電子顕微鏡を用いて、その特徴と生成過程を詳細に検討しました。この結果,これらのうち黄色味を帯びた透明のダイヤモンドが,数10ナノメートルという極めて微粒の純粋なダイヤモンドからできている「ナノ多結晶ダイヤモンド」であり,隕石衝突時の超高圧・高温により地表付近に存在していた単結晶グラファイトが変化してできたことを突きとめました。

 ナノ多結晶ダイヤモンドは,2003年に入舩教授らにより高温高圧実験で合成できることが発表された極めて高い硬度を持つダイヤモンド(通称ヒメダイヤ)ですが,本研究により、実験室で高圧合成されるものと同様の純粋なナノ多結晶ダイヤモンドが、天然にも存在することが初めて明らかになりました。

 本研究は,イギリスNature出版のオンライン総合科学誌Scientific Reportsの10月1日版にて発表されています。

透光性の高い試料の透過電子顕微鏡像。50nm以下の微細ダイヤモンド結晶の集合体

透光性の高い試料の透過電子顕微鏡像。50nm以下の微細ダイヤモンド結晶の集合体

研究に用いたPopigaiクレーター産のダイヤモンド試料

研究に用いたPopigaiクレーター産のダイヤモンド試料













【掲載論文】
Ohfuji, H., Irifune, T., Litasov, K.D., Yamashita, T., Isobe, F., Afanasiev, V.P. and Pokhilenko, N.P., Natural occurrence of pure nano-polycrystalline diamond from impact crater, Scientific Reports, 5, 14702, doi: 10.1038/srep14702, 2015.

【参考HP】
発表論文 http://dx.doi.org/10.1038/srep14702
Scientific Reports  http://www.nature.com/srep/

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